司法書士の川端祐也です。今日は公正証書遺言の証人として依頼者さんのご自宅にお伺いしたお話です。
自宅で公証
先日、公正証書遺言の証人として立ち会いをしてきました。基本的には公証役場でやる手続きですが、追加で日当と交通費をお支払いすれば公証人の先生が自宅まで出張してきてくれます。そもそも公証役場という存在自体あまりメジャーな場所ではないので、出張してきてくれることを依頼者さんに伝えると驚かれることが多い印象です。足が不自由だったり、遠くまで出かけるのが大変というご高齢の依頼者さんにはとても喜んでいただける制度ですね。
公証人役場にお迎えに
今回の依頼者さんは和歌山にお住いの方でしたので、和歌山の公証役場の先生にお願いしました。私自身も初めての経験でしたが、公証人の先生を車で迎えに行くこととなりました。大阪ではこんなケースがなかったので驚きましたが、田舎の方では普通なんでしょうか?
ともあれ、無事に依頼者さん宅に到着し簡単に挨拶を行い、さっそく遺言作成に取り掛かりました。遺言書の内容に関しては、事前に依頼者さん・公証人の先生とすり合わせを行っているので、当日行うことは読み合わせによる最終確認です。公証人の先生が遺言書の内容を読んでいき、依頼者さんの意思通りの遺言になっているかを確認していきます。問題がなければ、最後に遺言書作成者(依頼者さん)・証人2人・公証人がそれぞれ署名・捺印をして終了となります。
今回は何も問題なく、すんなり終わりました。時間にして、15分ほどでしょうか。まれに依頼者さんが、事前に打ち合わせていた内容と異なる意思を表示されるケースもあり、せっかく公証人の先生に来て頂いていますが、その場合はもちろんやり直しとなります。そのため、私たち司法書士は何度も依頼者さんの意思を確認して、間違いがないかには細心の注意を払って遺言書作成に臨んでいます。
証人の規定
ちなみに今回私の役割は証人という、遺言書作成が間違いなく行われたことを見届ける役なのですが、公正証書遺言を作成するには証人2人以上の立会いが必要です。これは民法969条に規定されています。
第969条【公正証書遺言】
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。
2人以上と規定されていますが、2人いれば十分なので実際には2人の場合がほとんどです。また、証人にはなれない条件も民法に規定されています。
第974条【証人及び立会人の欠格事由】
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
未成年者はまだ判断する能力が未熟なので証人になれず、遺言作成者や立ち会いをする公証人の先生と関係が深い方々も証人にはなれないということですね。こうなると、証人になってくれる方がなかなか周りにいないという方や、お友達や知り合いを無理やり探そうとされる方もいらっしゃいます。その点、私たち司法書士に頼んで頂ければ、弊社の司法書士や事務員さんを証人として派遣いたしますので、ご安心下さい。
印鑑は何でもOK
ところで、証人として押印する印鑑は何でもいいというのも、意外と知られていないことだと思います。役所に登録している実印じゃなくてもいいので、例えば100均で買った認印でもいいわけですが、司法書士が証人に行くときは実印や司法書士としての職印を持っていくことが多いのではないかと思います。単に見栄えの問題ですが。
そんなわけで本日は公正証書遺言の証人に行ってきたお話でした。公証人の先生を呼んで遺言を作ると聞くと、かなり大げさに聞こえるかもしれませんが、実際は公証人の先生もフランクな感じで進めてくれることが多いので、気軽にできる手続きです。遺言を書こうか迷われている方は、一度検討してみてください。